新鮮な死体

新鮮な死体
X-ファイル』のエピソード
話数シーズン2
第15話
監督ロブ・ボウマン
脚本ハワード・ゴードン
作品番号2X15
初放送日1995年2月3日
エピソード前次回
← 前回
「呪文」
次回 →
入植 Part.1
X-ファイル シーズン2
X-ファイルのエピソード一覧

新鮮な死体」(原題:Fresh Bones)は『X-ファイル』のシーズン2第15話で、1995年2月3日にFOXが初めて放送した。

スタッフ

キャスト

レギュラー

ゲスト

  • スティーヴン・ウィリアムズ - ミスターX
  • ブルース・ヤング - ピエール・ボーヴェ
  • ダニエル・ベンザリ - ウォートン大佐
  • ジャミル・ウォーカー・スミス - チェスター・ボナパルト
  • マット・ヒル - ハリー・ダナム
  • カラム・キース・レニー - 整備員
  • ケヴィン・コンウェイ - ジャック・マカルピン
  • カティア・ガードナー - ロビン・マカルピン

ストーリー

ノースカロライナ州フォークストーンにて、ハイチからの難民を収容する施設で警備をしていた海軍兵士ジャック・マカルピンは、意識が朦朧とした状態で車を運転し、ブードゥー教のシンボルが描かれた木に衝突して死亡する。その任に当たっていた海軍の兵士が自殺したのは彼で2例目だった。

モルダーとスカリーは2人の死を調査するために施設を訪れる。モルダーはチェスター・ボナパルトという少年からお守りを売りつけられる。施設の警備責任者であるウォートン大佐に挨拶した後、2人は収監されている難民のピエール・ボーヴェとジャックの同僚ハリー・ダナムに話を聞く。その後、スカリーはジャックの遺体を解剖しようとしたが、遺体があるはずの場所には犬の死体があった。

自動車を運転していたモルダーは、わけもわからぬまま道路を歩くジャックを発見する。検査の結果、ジャックの血中からハイチで死者蘇生の儀式に使用される毒薬・テトロドトキシンが検出される。最初に死んだ兵士も蘇ったはずだと考えたモルダーは、スカリーを連れて地元の墓地へと向かったが、墓は何者かの手で暴かれていた。その後、モルダーはダナムから「ウォートン大佐がボーヴェを間接的に痛めつけるために、難民たちを虐待している」と知らされる。モルダーの詰問に対し、大佐は事実無根だと主張するが、程なくしてボーヴェが何者かに殴り殺される。

スカリーは自動車にあった小枝で手を刺してしまった。スカリーは気が付かなかったが、彼女が運転する自動車の底面にはブードゥー教のシンボルが描かれていた。その頃、モルダーはミスターXと会い「もうすぐ君とスカリー君はワシントンD.C.に呼び戻され、難民キャンプには厳戒態勢が敷かれることになるだろう」と告げられる。モルダーは「ハイチで部下が次々と自殺した経験を持つウォートン大佐は、その怒りを難民たちにぶつけて虐待している」と考えていた。ダナムの家を訪れたスカリーは、彼がバスタブの中で死んでいるのを見つけた。その近くにはジャックのナイフがあった。ジャックは記憶を取り戻せずにいたが、「ウォートン大佐の命令で難民たちを殺した」と2人に告げた。2人は大佐に真偽を問いただそうとしたが、大佐に施設から追い出されてしまう。

ジャックの妻、ロビンの下を訪れたモルダーとスカリーは、彼女からハイチでウォートン大佐とボーヴェが一緒に写っている写真を見せられる。2人は施設に向かうが大佐の姿はなく、彼のオフィスにジャックとダナムが大佐の虐待に抗議した文書を見つける。墓地に向かった2人は、大佐がボーヴェの墓でブードゥー教の儀式を執り行っているのを目撃した。大佐はモルダーに向かって「儀式を邪魔すれば、お前を呪ってやる」と言い放った。スカリーは呪術で殺されそうになったが、チェスターのお守りのお陰で難を逃れることができた。そこへ死んだはずのボーヴェが姿を現わし、大佐の顔に何かの粉末をふりかけて死に至らせる。翌日、2人は別れを告げるためにジャックに会いに行った。お守りの話を聞いたジャックは驚愕し、チェスターが6週間前の暴動で亡くなったはずだと話す。

その頃、墓地では大佐の遺体を埋葬する作業が行われていた。大佐は「ここから出してくれ」と棺の中で叫んでいたが、彼の声は作業員の耳には届いていないようであった[1]

製作

ハワード・ゴードンはハイチで軍人が自殺した事件に関する記事に触発されて、本作の脚本を書き上げたのだという[2]。しかし、ハイチでのロケが行えないことが判明したため、急遽、ハイチからの難民という要素がエピソードに盛り込まれた[3]。ダニエル・ベンザリをウォートン大佐役にキャスティングするに当たって「彼は軍人に見えない」という意見も出たが、その演技の質が十分なものであったため、そのまま起用された[2]

本作の製作は1994年12月下旬に始まり、途中クリスマス休暇を挟み、1995年1月に全工程が終了した。男の手がスカリーを窒息させるシーンでは、手の模型にゼラチン状の物質を塗ったものが使用された[3]。ハイチからの難民キャンプでのシーンは、バンクーバー北部にある造船所で撮影された。ラストシーンの撮影中、大雨に見舞われたため、セットに貯まった水をポンプで抜きながら撮影せざるを得なかった[4]

評価

1995年2月3日、FOXは本エピソードを初めてアメリカで放映し、1780万人の視聴者(1080万世帯)を獲得した[5][6]。本エピソードはシーズン2で放送されたエピソードの中でも最高の視聴者数を記録した。

エンターテインメント・ウィークリー』は本エピソードにB-評価を下し、「ゾッとするようなシーン(自動車が突然木にぶつかるシーンやスカリーが幻覚を見るシーン)はあったが、現代風の作品ではない」と評している[7]。『A.V.クラブ』のトッド・ヴァンデルワーフは本エピソードにC評価を下し、「このエピソードにおける最大の問題は集中に欠けていることとペースが乱れていることである。エピソードの4分の3はノロノロ進んでいくが、終盤、物語の展開が突如として最高速度になる。そして、何だかよく分からないまま黙示録的なラストに到達する。良いものもあるのだが、「新鮮な死体」の大半は失望させられる出来である。」と批判している[8]

クリス・カーターは本エピソードを「シーズン2で最も素晴らしいエピソードの1つ」と述べた上で、ゴードンの脚本とボウマンの演出を称賛している[3]

参考文献

  • Cornell, Paul; Day, Martin; Topping, Keith (1998). X-Treme Possibilities. Virgin Publications, Ltd. ISBN 0-7535-0228-3 
  • Edwards, Ted (1996). X-Files Confidential. Little, Brown and Company. ISBN 0-316-21808-1 
  • Gradnitzer, Louisa; Pittson, Todd (1999). X Marks the Spot: On Location with The X-Files. Arsenal Pulp Press. ISBN 1-55152-066-4 
  • Lovece, Frank (1996). The X-Files Declassified. Citadel Press. ISBN 0-8065-1745-X 
  • Lowry, Brian (1995). The Truth is Out There: The Official Guide to The X-Files. Harper Prism. ISBN 0-06-105330-9 

出典

  1. ^ Lovece, pp. 146–8
  2. ^ a b Lowry, pp. 197–8
  3. ^ a b c Edwards, pp. 114–5
  4. ^ Gradnitzer, p. 55
  5. ^ http://anythingkiss.com/pi_feedback_challenge/Ratings/19941205-19950305_TVRatings.pdf[リンク切れ]
  6. ^ Lowry, p. 198
  7. ^ “The Ultimate Episode Guide, Season II”. 2017年12月9日閲覧。
  8. ^ “The X-Files: “Irresistible"/"Die Hand Die Verletzt"/"Fresh Bones"”. 2017年12月9日閲覧。

外部リンク

シーズン
シーズン1
  • "序章"
  • "ディープ・スロート"
  • "スクィーズ"
  • "導管"
  • "ジャージー・デビル"
  • "影"
  • "機械の中のゴースト"
  • "氷"
  • "宇宙"
  • "堕ちた天使"
  • "イヴ"
  • "炎"
  • "海の彼方に"
  • "性を曲げるもの"
  • "ラザロ"
  • "再生"
  • "E.B.E"
  • "奇跡の人"
  • "変形"
  • "闇"
  • "続 スクィーズ"
  • "輪廻"
  • "ローランド"
  • "三角フラスコ<終章>"
  • シーズン2
    • "リトル・グリーン・マン"
    • "宿主"
    • "血液"
    • "不眠"
    • "昇天 Part.1"
    • "昇天 Part.2"
    • "トリニティ"
    • "昇天 Part.3"
    • "地底"
    • "レッド・ミュージアム"
    • "不老"
    • "オーブリー"
    • "フェチシズム"
    • "呪文"
    • "新鮮な死体"
    • "入植 Part.1"
    • "入植 Part.2"
    • "恐怖の均整"
    • "歪み"
    • "サーカス(英語版)"
    • "カルサリ(英語版)"
    • "幼虫(英語版)"
    • "影踏み(英語版)"
    • "カニバル(英語版)"
    • "アナサジ"
    シーズン3
    • "祈り"
    • "ペーパークリップ"
    • "D.P.O.(英語版)"
    • "休息(英語版)"
    • "名簿(英語版)"
    • "胃液(英語版)"
    • "歩兵(英語版)"
    • "土牢(英語版)"
    • "二世"
    • "731"
    • "黙示(英語版)"
    • "害虫(英語版)"
    • "(英語版)"
    • "グロテスク(英語版)"
    • "海底"
    • "アポクリファ"
    • "プッシャー(英語版)"
    • "骨董(英語版)"
    • "賭博(英語版)"
    • "執筆(英語版)"
    • "化身(英語版)"
    • "ビッグ・ブルー(英語版)"
    • "電波(英語版)"
    • "タリサ・クミ"
    シーズン4
    • "支配者"
    • "ホーム"
    • "メラニン(英語版)"
    • "アンルーヘ(英語版)"
    • "追憶(英語版)"
    • "整形(英語版)"
    • "紫煙"
    • "ツングースカ Part.1"
    • "ツングースカ Part.2"
    • "ペーパー・ハート(英語版)"
    • "カビ(英語版)"
    • "腫瘍(英語版)"
    • "タトゥー(英語版)"
    • "メメント・モリ"
    • "魂のない肉体(英語版)"
    • "P.O.W(英語版)"
    • "MAX Part.1"
    • "MAX Part.2"
    • "凍結(英語版)"
    • "スモール・ポテト(英語版)"
    • "ゼロ・サム"
    • "哀歌(英語版)"
    • "フラッシュバック(英語版)"
    • "ゲッセマネ"
    シーズン5
    • "帰還 Part.1/Part.2"
    • "アンユージュアルサスペクツ"
    • "迂回"
    • "プロメテウス(英語版)"
    • "クリスマス・キャロル"
    • "エミリー"
    • "狐狩り(英語版)"
    • "分裂(英語版)"
    • "ドール(英語版)"
    • "キル スウィッチ(英語版)"
    • "吸血(英語版)"
    • "ペイシェントX(英語版)"
    • "赤と黒(英語版)"
    • "旅人(英語版)"
    • "マインド・アイ(英語版)"
    • "万霊節(英語版)"
    • "アンダーカバー(英語版)"
    • "幻妖(英語版)"
    • "ジ・エンド(英語版)"
    シーズン6
    • "ビギニング(英語版)"
    • "迷走(英語版)"
    • "トライアングル(英語版)"
    • "ドリームランド Part.1/Part.2(英語版)"
    • "クリスマス・イブの過ごし方(英語版)"
    • "愛児(英語版)"
    • "レイン・キング(英語版)"
    • "S.R.819(英語版)"
    • "ティトノス(英語版)"
    • "ファイト・ザ・フューチャー Part.1(英語版)"
    • "ファイト・ザ・フューチャー Part.2(英語版)"
    • "アグア・マラ(英語版)"
    • "月曜の朝(英語版)"
    • "スイート・ホーム(英語版)"
    • "絶滅種(英語版)"
    • "電界(英語版)"
    • "ミラグロ(英語版)"
    • "アンナチュラル(英語版)"
    • "荒野の三人(英語版)"
    • "トリップ(英語版)"
    • "創世記(英語版)"
    シーズン7
    • "第六の絶滅 Part.1(英語版)"
    • "第六の絶滅 Part.2(英語版)"
    • "ハングリー(英語版)"
    • "ミレニアム(英語版)"
    • "ラッシュ(英語版)"
    • "ゴールドバーグ(英語版)"
    • "オリソン(英語版)"
    • "偉大なるマリーニ(英語版)"
    • "神のお告げ(英語版)"
    • "存在と時間 Part.1(英語版)"
    • "存在と時間 Part.2(英語版)"
    • "X-コップス(英語版)"
    • "ファースト・パーソン・シューター(英語版)"
    • "呪い(英語版)"
    • "(英語版)"
    • "キメーラ(英語版)"
    • "宿縁(英語版)"
    • "ブランドX(英語版)"
    • "ハリウッドA.D.(英語版)"
    • "ファイトクラブ(英語版)"
    • "三つの願い(英語版)"
    • "レクイエム(英語版)"
    シーズン8
    • "サーチ・フォー・モルダー Part.1(英語版)"
    • "サーチ・フォー・モルダー Part.2(英語版)"
    • "爪痕(英語版)"
    • "ロードランナー(英語版)"
    • "冥界の死者(英語版)"
    • "レッドラム(英語版)"
    • "第三の目(英語版)"
    • "透視(英語版)"
    • "救済(英語版)"
    • "バドラ(英語版)"
    • "ギフト(英語版)"
    • "メデューサ(英語版)"
    • "受胎(英語版)"
    • "デッドアライブ Part.1(英語版)"
    • "デッドアライブ Part.2(英語版)"
    • "パスワード(英語版)"
    • "秘密(英語版)
    • "到来(英語版)"
    • "孤立(英語版)"
    • "誕生 Part.1(英語版)"
    • "誕生 Part.2(英語版)"
    シーズン9
    • "リターン・トゥ・ウォーター Part1/Part2(英語版)"
    • "ダイモニカス(英語版)"
    • "4-D(英語版)"
    • "蠅の王(英語版)"
    • "トラスト・ノー・ワン(英語版)"
    • "ジョン・ドー(英語版)"
    • "境界(英語版)"
    • "神託 Part.1(英語版)"
    • "神託 Part.2(英語版)"
    • "オードリー(英語版)"
    • "化体(英語版)"
    • "数秘術"
    • "モンスター(英語版)"
    • "英雄に捧ぐ(英語版)"
    • "ウィリアム(英語版)"
    • "解放(英語版)"
    • "サンシャイン・デイズ(英語版)"
    • "真実 Part1/Part2(英語版)"
    シーズン10
    • "闘争 Part.1(英語版)"
    • "変異(英語版)"
    • "トカゲ男の憂鬱(英語版)"
    • "バンドエイド・ノーズ・マン(英語版)"
    • "バビロン(英語版)"
    • "闘争 Part.2(英語版)"
    シーズン11
    • "闘争 Part.3(英語版)"
    • "死後(英語版)"
    • "分身(英語版)"
    • "失われた記憶(英語版)"
    • "グーリー(英語版)"
    • "子猫(英語版)"
    • "フォロワー(英語版)"
    • "親しき者(英語版)
    • カテゴリ カテゴリ